ヴィシュヌは、ヒンドゥー教の三大神の中の一柱である。
端正な顔立ちをした美少年で、手は4本あり、それぞれの手には法螺貝、輪宝、棍棒、蓮華を持ち、怪鳥ガルーダに乗っている。
ヒンドゥー教では、宇宙は1カルパという単位で生成消滅を繰り返すとされていて、1カルパはおよそ43億2000万年。そしてそこに、この三大神が重要な役割をはたしているのである。
まず、混沌とした暗黒の大海の上に、千の頭を持つ大蛇ナーガが三巻半し浮かび漂っている。その上にヴィシュヌが横たわり微睡み始めると、ヴィシュヌの臍から一輪の蓮華が芽を出し、やがてその花弁の中から創造神ブラフマンが生まれ宇宙を創造する。
そしてやがて1カルパが近付くと、100年におよぶ旱魃が起こり、生物はことごとく死滅する。
そこでヴィシュヌは破壊神シヴァとなり、まず世界を徹底的に涸渇させ炎に包み、炎は地下界から天界にまで達し、いよいよ三界すべてを焼きつくす。
またシヴァは次に巨大な雲を吐き出し、雲は雷鳴を轟かせ100年にわたり雨を降らせ、世界は水没し、とうとう三界もろとも一つの混沌とした暗黒の大海となるのだ。
こうして、その混沌とした暗黒の大海の上に、やがて大蛇ナーガが三巻半し浮かび漂い始めると、ヴィシュヌはその上に横たわり、再び微睡みに就くのである……。