中国の高僧、仰山慧寂が少年だった頃の話である。同じく中国の高僧、中邑洪恩にある問いを投げかけた。
「仏性とはいったい何ですか?」
それに対して中邑はこう答えた。
「ここで私が君のために、ひとつ例え話をしよう。まずここに一軒の家がある。その家には6つの窓があって、中には猿が1匹住んでいる。また、家の外には人がいて、ひとつの窓から、猿さん、猿さんと呼べば、家の中の猿は、うん、うんと返事をする。同じく他の6つのどこの窓から、猿さん、猿さんと呼んでも、猿は同じく、うん、うんと返事をする。これが仏性だ」
すると、それに対して少年仰山はさらにこんな問いを投げかけた。
「では、もしもその家の中の猿が、居眠りをしていて起きない時はどうすればいいのでしょうか?」
その問いを聞いた中邑は、すかさず高座から飛び降りて、少年仰山の胸ぐらを掴みこう言った。
「猿よ。私はお前がすでに悟りの境界にあることを見抜いたぞ!」
仏性とはいったい何なのか?そして中邑はなぜ、少年仰山が悟りの境界にあることに気づいたのか?
禅の超難問『中邑獮猴』の答えは?